宅地建物取引業法の歴史
- 1.まずは、宅地建物取引業法の目的
- 2.宅地建物取引業法制定の経緯
- 3.宅地建物取引業法の全体構造
- 4.宅地建物取引業法の変遷
- (1)昭和29年(1954年)改正(吉田内閣)
- (2)昭和32年(1957年)改正(岸内閣)
- (3)昭和34年(1959年)改正(岸内閣)
- (4)昭和39年(1964年)改正(池田内閣)
- (5)昭和42年(1967年)改正(佐藤内閣)
- (6)昭和46年(1971年)改正(佐藤内閣)
- (7)昭和47年(1972年)改正(田中内閣)
- (8)昭和55年(1980年)改正(大平内閣)
- (9)昭和61年(1986年)改正(中曽根内閣)
- (10)昭和63年(1988年)改正(竹下内閣)
- (11)平成7年(1995年)改正(村山内閣)
- (12)平成9年(1997年)改正(橋本内閣)
- (13)平成18年(2006年)改正(安倍内閣)
- (14)平成21年(2009年)改正(鳩山内閣)
- (15)平成27年(2015年)改正(安倍内閣)
- まとめ
今回は私なりに調べまして、不動産業を営む上で重要な宅地建物取引業について説明いたします。
業法制定当初の1952年~2000年頃までは、インターネットが普及していない状況でしたので、
たとえいくら法律が改正されても、情報が消費者に届かない以上、不正と取り締まりは今以上にいたちごっこのていをなしていました。
1.まずは、宅地建物取引業法の目的
この法律は、宅地建物取引業を営む者について免許制度を実施し、その事業に対し必要な規制を行うことにより、その業務の適正な運営と宅地及び建物の取引の公正とを確保するとともに、宅地建物取引業の健全な発達を促進し、もつて購入者等の利益の保護と宅地及び建物の流通の円滑化とを図ることを目的とする(宅建業法1条)。
2.宅地建物取引業法制定の経緯
この法律が制定されたのは、第二次大戦後です。
戦後の未曾有の住宅不足がその最大の要因でした。
昭和20年(1945年)の日本の人口は約7,200万人だったようです。
詳細なデータはわかりませんが、その人口に対して住宅が少なかった状況のようです。
また、戦後の経済復興に伴い、一般の宅地建物の需要が拡大し、その取引が盛んになったことも拍車をかけました。宅地建物の取引が増加すると、それに比例し、紛争や事故も激増しました。
また、宅地建物の取引には、相当の知識、経験、資力、信用等が必要となります。
しかし、宅建業法が制定されるまでは、誰でも自由にこの業界に参入できたこともあり、
知識や経験もない者が自由に取引に従事したり、逼迫した住宅事情につけこんで悪事を働く業者も少なからず存在しました。そこで、宅地建物という重要な財産の取引を安全に取り扱い、宅地建物の円滑な流通と利用の促進を図るため、宅地建物の取引に関する規制の必要性が高まり、法制定の運動が起こりました。
このような状況を背景に、昭和27年(1952年)(吉田内閣)に宅地建物取引業法が制定されました。
3.宅地建物取引業法の全体構造
(1)宅建業の免許
(2)取引主任者
(3)営業保証金
(4)宅建業保証協会
(5)業務
(6)監督・罰則
(7)その他(雑則・指定流通機構・指定保証機関)
4.宅地建物取引業法の変遷
昭和27年(1952年)6月10日に成立してから(施行は同年8月1日)、今日に至るまで、
宅建業法は幾多の改正を繰り返しています。以下、改正順にまとめます。
(1)昭和29年(1954年)改正(吉田内閣)
宅建業法施行後、はじめての登録更新の時期を迎えるに当たって、更新登録手数料の引き下げと、
宅建業に関する苦情、紛争処理等に当たらせるため都道府県に宅地建物取引業審議会を設置することを奨励する旨の改正がなされました。
(2)昭和32年(1957年)改正(岸内閣)
この当時、無免許業者、宅建業者の不正等により取引関係者が不足の損害を被る紛争が相当件数に達したことから、宅建業者の資質を向上させて社会的信頼を高め、業務の運営を一層適正化するために大幅な改正がなされました。
具体的には、
①宅地建物取引主任者制度(宅地建物取引員試験の実施、専任の取引主任者の設置義務)の新設、
②営業保証金制度の設置、
③宅地建物取引員会、同連合会の設立の関する各規定を設け、
④無登録事業等の禁止規定を強化しました。
(3)昭和34年(1959年)改正(岸内閣)
営業保証金制度が改正され、金銭に代えて有価証券をもって供託できるようになりました。
(4)昭和39年(1964年)改正(池田内閣)
宅建業法の施行後の実情に鑑み、宅地建物の取引の公正を確保し宅地建物取引業の適正な運営を図るため、
宅地建物取引業を営む者について免許制度を実施するとともに営業保証金の供託限度額の撤廃
その他依頼者等の保護を図るために必要な措置を講ずる等の必要があるとして、大幅な改正が行われました。
(昭和39年(1964年)6月25日衆議院建設委員会議事録第40号)。
具体的には、
①第1条の目的に「宅地及び建物の取引の公正を確保する」旨が追加されました。
②用途地域内の土地(公共施設の用地を除く)は、すべて宅建業法上の宅地として取り扱うようになりました。
③登録制度を廃止し免許制度に改め、免許を建設大臣免許と都道府県知事免許に区分し、免許基準をより一層厳格にしました。
④宅地建物取引士員の名称を宅地建物取引士に変更し、同資格試験に受験制限を設けました。
⑤購入者等の保護を図るため宅建業者が供託すべき営業保証金の限度額を撤廃しました。
⑥建設大臣の定め(報酬告示)による報酬額の制限のほか、報酬額の掲示、従業者証明書の携帯、業務帳簿の備え付け、現地案内所等の標識の掲示が義務付けられました。
⑦監督処分に新たに指示処分が設けられ、指導、勧告等の根拠規定を設け、報告、立入検査に関する規定が整備されました。
免許取消処分事由、業務停止処分事由も拡充されました。
⑧宅地建物取引員協会に代えて、都道府県ごとに宅建業者を会員とする宅地建物取引業協会、同協会を会員とする同連合会を設置し、
宅地建物取引業協会等を通じて行政指導を周知徹底できる体制を作り業界の健全な発展を推進することを図りました。
(5)昭和42年(1967年)改正(佐藤内閣)
宅地建物の取引の公正を確保するため、宅建業者の業務に関し、誇大広告等を禁止し、
取引に関する紛争の原因となるおそれがある重要事項の説明等の義務を規定する等所要の措置を講ずる必要があるとして、
改正が行われました(昭和42年5月24日衆議院建設委員会議事録第10号)。
具体的には、
①業務規制の強化として、誇大広告の禁止、取引態様の明示義務、重要事項の説明義務、契約成立後の書面の交付義務、手付貸与の禁止等が定められました。
②監督の強化として、宅建業者の業務の適正な運営を確保するため、業務の運営の実態を把握し易い立場にある業務地管轄知事に宅建業者に対する指示処分、業務停止処分の監督権限を与えられ罰則規定も整備されました。
(6)昭和46年(1971年)改正(佐藤内閣)
宅建業者の業務の適正な運営と宅地建物の取引の公正とを確保して、
購入者等の利益の保護と宅地建物の流通の円滑化とを図るため、宅地建物の取引に係る契約の内容を規制し、
前金の保全のための措置を講ずる等の必要があるとして、改正が行われました(昭和46年(1971年)3月19日衆議院建設委員会議録第10号)。
具体的には、
①第1条を改正し、その究極の目的として「購入者等の利益の保護」を加え、取引の公正の確保を直接目的としました。
②免許基準がさらに厳格されました。悪質業者の排除を実現するため、免許の再取得禁止期間を2年から3年に延長し、
法人免許については実質的な影響力を有する影の支配者の関与を規制するため役員同様の支配力を有する者をも審査対象とする旨の改正がなされました。
また、名義貸しの禁止規定も新設されました。
③取引主任者の登録制度が新設されました。その他、取引主任者の職務責任(物件説明書の説明等)の明確化、
都道府県知事による取引主任者に対する監督、取引主任者証明書の携帯義務が定められました。
④いわゆる青田売り規制がされました。広告の開始時期の制限、重要事項の説明義務、契約締結等の時期の制限、前金保全措置を規定するほか、前金保全措置を行う指定保証機関の規定が創設されました。
⑤自ら売主制限として、損害賠償額の予定額の制限、手付の額の制限、瑕疵担保責任についての特約の制限、割賦販売契約における解除等の制限、所有権留保等の禁止規定を設け、
制限規定に違反する特約を無効とする強行規定化を図りました。
⑥事務所等以外の案内所に関する届出のほか、宅建業者に対する監督処分として、指示処分、指示処分に違反した場合の業務停止処分、
特に情状が重い場合における免許取消処分等の規定を設け、さらに業務停止期間を6か月から1年以内に延長されました。
(7)昭和47年(1972年)改正(田中内閣)
最近の宅地建物取引業の現状に鑑み、宅地建物取引業の適正な運営を確保し、消費者の利益を保護するため、営業保証金の額を増額するとともに、指定社団法人に営業保証金相当額の弁済業務、一般保証業務その他の業務を行わせることとする等宅地建物取引業に関し改善の措置を講ずる必要があるとして、改正されました(昭和47年6月16日衆議院建設委員会議録第25)。
(8)昭和55年(1980年)改正(大平内閣)
近年、世代、世帯構成等に応じた住宅の住み替え需要の拡大、職住接近の要請の高まり等により、住宅の需要構造が変化し、
中古住宅を含む不動産の流通量が増大していました。この傾向を踏まえ、宅地建物取引の態様は多様化し、その内容も複雑なものとなりました。
その結果、宅地建物取引に関する紛争件数が増加し、また一部業者による悪質例も後を絶たない状況にありました。
この事態に対処して宅地建物の購入者等の利益を保護するため、宅建業者について免許基準の強化等により、その資質の向上を図るとともに、
その業務に関する規制を強化して取引の公正を期す必要があるとして改正が行われました。
また、増大・多様化する不動産流通の円滑化を図るため、立ち遅れている不動産流通市場の整備、近代化を推進する必要があるため改正が行われました(昭和55年4月4日衆議院建設委員会議録第10号)。
具体的には以下のとおりです。
①不動産流通業務を近代化するため、売買及び交換の媒介契約の内容の書面化が義務付けられました。
②第1条の目的に「宅地建物取引業の健全な発達を促進すること」が追加されました。
それに対応して、宅地建物取引業保証協会の業務に「宅地建物取引業の健全な発達を図るために必要な業務」が追加されました。
具体的な施策としては、標準媒介契約約款が告示され、財団法人不動産流通近代化センターが設立され(基金は国庫10億円、民間出捐20億円)、
中小企業の協業化が進みました。また、取引物件の合理的な値付けを行うための価格査定マニュアルを策定・普及させ、
宅建業者間で物件情報を共有させ迅速かつ適正な価格での成約を促進させるため不動産流通機構が整備されました。
③自己の所有に属しない宅地建物の売買契約締結の制限、クーリング・オフ制度が新設されました。
④業務規制が強化されました。
・免許基準の厳格化
免許の取消処分の聴聞の公示後に廃業等の届出をした者の排除、免許の再取得禁止期間を3年から5年に引き上げ、名義貸しの禁止規定の拡大が行われました。
・取引主任者制度の改善
選任の取引主任者の増員、登録基準の強化、取引主任者証の提示義務、取引主任者の講習の受講義務等が定められました。
・誇大広告等の禁止対象の拡大
・取引態様の明示義務の拡大
・重要事項説明の対象事項の追加等
⑤営業保証金の額が引き上げられました。
⑥監督権限と罰則が強化されました。
(9)昭和61年(1986年)改正(中曽根内閣)
臨時行政改革推進審議会の答申を受けて、行政の事務合理化を図るため、「地方公共団体の執行機関が国の機関として行う事務の整理及び合理化に関する法律」が公布されました。
それに伴い宅建業法も一部改正され、都道府県知事の機関委任事務であった取引主任者資格試験の実施に関する事務を建設大臣が指定する財団法人不動産適正取引推進機構が行うことになりました(昭和63年度以降の試験)。
(10)昭和63年(1988年)改正(竹下内閣)
バブル経済による地価急騰における宅地建物の取引の実情に鑑み、その公正を確保し、購入者等の利益の保護と宅地建物の流通の円滑化を図るため宅地建物取引業について、
免許の基準の強化、宅地建物取引主任者制度の改善、専任媒介契約制度の充実、事務所等以外の場所においてした買受けの申込みの撤回等を行うことができる期間の延長、
手付金等の保全制度の拡充等の措置を講ずる必要があるとして改正が行われました(昭和63年4月20日衆議院建設委員会議録第9号)。
具体的には、
①暴力団等の悪質な業者を排除するため傷害、暴行、脅迫等の罪を犯し罰金刑に処せられた者を欠格事由として免許基準がさらに強化されました。
②事務所以外の案内所等についても専任の取引主任者の設置義務を定め、取引主任者の登録の欠格要件を強化し、取引主任者の登録要件として一定期間以上の実務経験を必要としました。
専任の取引主任者の設置すべき人数を法律事項ではなく省令改正で措置することとし、専任の取引主任者は業務従事者5人に1人以上の割合に引き上げられました。
③クーリング・オフの権利行使期間が5日間から8日間に延長されました。
④従業証明書制度が改正され、従業者名簿の備付け、閲覧が義務付けられました。
⑤未完成物件だけでなく完成物件についても手付金等の保全措置を義務付け、営業保証金及び弁済業務保証金分担金を引き上げ(政令改正)、手付金等保管事業に関する規定を整備しました。
⑥専属専任媒介契約を認め(平成2年5月6日施行)、これを受託した宅建業者には建設大臣が指定する指定流通機構への物件登録を義務付け等、媒介契約制度が改正されました。
⑦免許の更新等に関する規定、監督に関する規定、罰則規定も整備されました。
(11)平成7年(1995年)改正(村山内閣)
平成2年(1990年)4月に金融機関の不動産関連融資について総量規制が実施され、これを機に同年秋以降地価の上昇が沈静化しましたが、
それにとどまらず大都市圏では地価が大幅に下落しました。そののような時代背景をもとに、宅地建物の取引の公正を確保して依頼者の利益を図るため、
専任媒介契約を締結した宅建業者は、当該専任媒介契約の目的物である宅地建物につき一定の事項を指定流通機構に登録しなければならないものとされ、
宅地建物取引業の業務の適正な遂行を確保するため宅地建物取引主任者資格試験制度の改善、業務に係る禁止事項及び宅地建物取引主任者に対する指示処分の追加等の措置を講じ、
あわせて宅建業者等の負担の軽減を図るため免許の有効期間の延長、一定の届出事項の廃止等の措置を講じる必要があるとして、改正されました。
具体的には、
①専任媒介契約に係る物件情報の指定流通機構への登録を義務付け、指定流通機構を宅建業法上規定し法的位置付けを明確にしました。
②免許の有効期間が3年から5年に延長されました。
③免許基準、取引主任者の登録基準の追加、契約成立前に説明すべき重要事項の簡素化・合理化、契約勧誘に際しての断定的判断の提供の禁止等、業務に関する禁止事項が追加されました。
④取引主任者に対する指示処分の新設と監督強化のほか監督、罰則の規定が整備されました。
(12)平成9年(1997年)改正(橋本内閣)
取引主任者証の有効期間が3年から5年に延長されました。
↕平成10年(1998年)頃から、この間に、インターネットのビジネス商用化が進みつつあります。
(13)平成18年(2006年)改正(安倍内閣)
平成17年11月に分譲販売された構造計算書偽装問題が発覚した。
建築関連の法令が改正されるとともに、宅建業法も一部改正された。
瑕疵担保責任の履行に関する情報開示を徹底するため、宅建業者に対し、
瑕疵担保責任の履行に関する保証保険加入の有無等について法35条1項の重要事項、法37条書面の記載事項に追加し、法47条1号の「重要な事項」について定義を設け、1年以下の懲役もしくは50万円以下の罰金とされていた法定刑を2年以下の懲役もしくは300万円以下(法人の場合は1年以下)の罰金としました。
(14)平成21年(2009年)改正(鳩山内閣)
平成19年10月頃から、食品の表示等の偽装が社会問題となりました。
宅地建物取引業の免許の付与、監督は従来通り国土交通大臣、都道府県知事が行うが、
たとえば法35条1項の重要事項として説明すべき事項の一部については、国土交通省令・内閣府令で定める共感事項とされました。
国土交通大臣が大臣免許業者に対し処分をしようとするときは、内閣総理大臣と協議し、内閣総理大臣は意見を述べることができ(法71条の2)、また大臣免許業者に対し報告要求、検査等の権限が認められました(法72条2項)。
(15)平成27年(2015年)改正(安倍内閣)
①取引士証の提示についても改正がありました。これまで、重要事項説明の際や取引関係者から求められたとき等に、
取引主任者は取引主任者証を隠すことなく提示しなければなりませんでした。
改正により、提示の際に、取引士証に記されている住所欄にシールを貼り隠すことができるようになりました。
個人情報保護の観点からの改正点です。
②取引主任者から取引士に格上げされ、次の規定が追加されました。
・専門家として公正かつ誠実に業務を処理すべきであるとする原則規定(15条)
取引士は、宅地建物取引の専門家として、専門的知識をもって適切な助言や重要事項の説明等を行い、消費者が安心して取引を行うことができる環境つくりをしなければなりません。
そのため、取引士は、常に公正な立場を保持して、業務に誠実に従事することで、紛争等を防止するとともに、取引士が中心となってリフォーム会社、
瑕疵担保会社、金融機関等の宅地建物取引業に関連する業務に従事する者との連携を図り、宅地及び建物の円滑な取引の遂行を図る必要があるものとします。
・私的な行為を含め取引士の信用を失墜させるような行為の禁止規定(15条の2)
取引士は、その業務が取引の相手方だけでなく社会からも信頼されていることから、信用を傷つけるような行為をしてはなりません。
信用を傷つけるような行為とは、宅地建物取引士の職務に反し、または職責の遂行に著しく悪影響を及ぼすような行為で、
取引士としての職業倫理に反するような行為であり、職務として行われるものに限らず、職務に必ずしも直接関係しない行為や私的な行為も含まれます。
・知識能力の維持向上を努力義務とする規定(15条の3)
取引士は、専門家である以上、常に最新の法令等を入手して、
それを実務能力に反映させる必要があります。取引士に課せられた努力義務です。
③宅地建物取引業者による従業員の教育
宅地建物取引業者は、その従業者に対し、登録講習をはじめ各種研修等に参加させ、又は研修等の開催により、必要な教育を行うよう努めなければなりません。
④免許及び取引士登録に係る欠格事由及び取消・消除事由の追加
「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第二条第六号に規定する暴力団員又は同号に規定する暴力団員でなくなった日から五年を経過しない者」(以下「暴力団員等」という。)(法5条1項3号の3)、
「暴力団員等がその事業活動を支配する者」(法5条1項8号の2)の2つが宅建業者の免許欠格事由に付け加えられました。
取引士の登録欠格事由にも「暴力団員等」が追加されました(法18条1項5号の3)。
平成19年6月に「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」(犯罪対策閣僚会議幹事会申合せ)が取りまとめられ、
企業が反社会的勢力による被害を防止するための基本理念や具体な対応が示されて以来、
年々暴力団等に対する規制が強化されています。今回の改正もその一環です。
また、いわゆる「暴力団排除条例」についても、平成23年10月1日をもって全都道府県で施行されており、不動産を譲渡する者に対し、
その譲渡に係る契約の相手方に、対象不動産を暴力団事務所の用に供するものでないことを確認するよう努めることなどが規定されています。
これまでは、不動産取引の当事者から暴力団を排除することがその主眼でしたが、今回の改正では宅建業者及び取引士から暴力団を排除する内なる規制強化ということになります。
まとめ
制定当初と令和の現在では、社会情勢や消費者の情報の入手方法がとてつもなく変わっています。
インターネットの普及、SNSでの情報収集によって、不動産の情報はより入手しやすくなっています。
しかしながらまだまだ不動産業界は「遅れている」業界です。
よりよい不動産取引ができる日本にしていきたいです。