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購入申込書・売渡承諾書の性質

不動産事情

久賀田 康太

筆者 久賀田 康太

不動産キャリア10年

学生時代はサッカーに打ち込みました。現在はゴルフです。
いかに練習に行かずに平均スコアを80台前半に落ち着くよう、
イメージトレーニングを中心に頑張っています。

購入申込書とは?


不動産を購入しようとする場合、不動産会社の担当より「購入申込書を記入お願いします」といった状況になるかと思います。
そして、弊社への相談で、「購入申込を書き、売主が承諾した場合は、もう契約は確定しているのですか?」といった相談がたまにあります。
結論は「NO」です。

購入申込の様式


購入申込の様式(記載事項)は、法律では決まっていませんので、各不動産会社によりますが、
典型的な例を下記に記します。
・「私は下記表示の不動産を下記条件で購入することを申し入れます」等の文言
・物件の表示
・購入希望価格
・手付金の額
・融資利用の有無
・契約締結希望日
・引渡予定日…
が代表的な記載例です。

「申込を入れられましたので、もう契約は成立しています」は嘘?


上記書類を提出をされましたら、もう何があっても契約は成立していると勘違いされてる方がいらっしゃいます。
しかし、「購入申込」「売渡承諾」という書類の性質は、「取引の端緒になるもの」「取引のベースになるもの」という性質です。

契約の流れとしましては、
①購入申込の提出
②売主様との条件の擦り合わせ
③宅地建物取引業法第35条書面の交付
④宅地建物取引業法第37条書面の交付
という流れになります。

ですので、物件の見学後、不動産会社での物件の説明後に、
無理やりの如く不動産購入申込書を記入させられてしまった場合は、
「すみません、やっぱりやめます」ということは可能です。
ですので、物件の見学後は、一度じっくり家族と話し合い、
改めて考える時間を確保してください。

参考裁判例
大阪高裁平成2年4月26日判例
名古屋地裁平成4年10月28日判例
京都地裁平成元年1月26日判例
東京地裁平成2年12月26日判例

この記事の執筆者

このブログの担当者  久賀田 康太

保有資格:宅地建物取引士

1985年生まれ。

大阪府守口市出身。

関西大学法学部法律学科卒業。

住友不動産販売株式会社にて土地、中古戸建、新築戸建、一棟収益物件、工場、田畑等の売買仲介業務にて実務経験を積む。

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