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ローン特約について

不動産事情

目次:【ローン(融資)特約とは?】

ローン(融資)特約とは?


マンションや戸建、または土地からハウスメーカーにて建物を建てる等、
不動産を購入する場合には「ローン」を利用されるかと思います。
そのローンについて記載いたします。

車のローンは組まれたことがあるかと思いますが、
家を買う場合にもローンを利用される方が圧倒的に多いです。
現金を持たれている方でも、現在の日本の住宅ローン金利事情から考えても、
ローンを利用される方が多いです。

この「ローン」に関して、不動産売買契約書上「ローン特約」というものがあります。
これは、万が一、ローンが否決された場合、契約を「無かったこと」にする、
「買主様保護」の特約です。

ローン特約の趣旨


裁判例でも、ローン特約の趣旨は、
一般人が土地建物を購入する場合には、金融機関からの融資を受けて売買代金の一部に充当するのが通常であるところ、買主が一定の期間内にローン融資を受けることはできない場合において、通常の債務不履行責任と同様に、手付金没収や損害賠償義務の負担を強いられることになると、買主に酷となるため、買主が通常の手続きどおり、金融機関にローンの申込をしたにもかかわらず、ローンが実行されない場合には、無条件(無賠償)の解除を認める」との判例があります。(福岡高裁那覇判平成11年8月31日裁判例)

売買契約はしたが、ローンの本申込(契約後にします)でローンがやはり否決になる場合があります。
(ここ10年の間で、契約前のローン事前審査が通った場合、あとに否決になる場合は極めて低いです。
否決に場合は、虚偽の申告をしていたか、契約後お仕事を変えられたか、物件に関して不動産会社の担当が銀行担当に詳細を伝えていない場合が多いです)。

「解除条件型」と「解除権留保型」


ローン特約には、融資が受けられなかった場合に契約は当然に解除されるという定めの場合(これを解除条件型といいます)と、買主は契約を解除することができる(解除しなくてもよい)という定め(これを解除権留保型といいます)があります。

解除条件型の場合には、条件が成就した(融資不成立になった)場合には、解除に意思表示がなくとも、当然に売買契約は解除されるのに対し、
解除権留保型の場合には、条件が成就した(融資不成立)としても、買主が解除の意思表示を別途しないと、売買契約は解除されないという点で大きな違いがあります。
実際、売買契約を行う場合は、そこまで細かく教えてくれる不動産営業マンはいませんので、とにかくローンが不成立になった場合は、不動産営業マンに伝えてください。

融資が受けれなかった場合とは、文字の如く、「融資が不成立だった」ことが条件になりますが、
・希望した金額の融資の承認が受けれなかった
・融資そのものは受けれたが、金利等の融資条件が希望した条件で受けれなかった
という場合をどう扱うかでもめることがあります。

ローン事前審査


不動産購入の流れは
「目当ての物件の発見
それが金銭的に買えるかのローン事前審査
承認後、不動産売買契約
ローン本審査
承認後、融資実行・決済」
ざっくりの流れです。

昨今のローン事情では、上記でお伝えしました通り、
不動産を購入する前に「ローン事前審査」をしていただきます。
だいたいの銀行では、
・ローン申込書類
・運転免許証等の本人確認資料
・健康保険証
で「ローン事前審査」ができます。

注意しなければいけないのは、
このローン事前審査では、「その人の審査」のみであることが多いです。
「物件についての審査」はその時はほとんどしていません。
ですので、
無事ローン事前審査が通ったから絶対本審査が通るという訳ではありません。
その後、本審査では「物件の審査」があります。
所謂「担保評価」です。
ここでローン否決になる場合も、たまにあります。

※特に、昨今多くの方が利用する「ネット銀行」は要注意です。
弊社のお客様のほとんどは「ネット銀行」を利用しますが、
会社によって、審査基準がばらばらな印象ですので、
「ネット銀行」のローン事前審査のみで不動産売買契約まで進むと注意が必要です。

参考裁判例
ローン条項の趣旨からすれば、買主である原告としても、買主保護のために設けられたローン条項による保護を受けるためには、金融機関の審査に必要な書類を揃えてその審査を受けるといった住宅購入資金の調達に向けた努力をする必要があるところ、原告は、自己仲介業者の発言のみで購入意欲を失った結果、資金調達に向けた努力を怠り、ローン条項期日までに住宅ローンの申込をしなかったものと認められるから、ローンによる保護に値せず、手付金を没収されてもやむを得ないというべきである、との裁判例があります。

買主様保護の規定ではありますが、それを悪用する方もたまにいます。
・契約をしたが、やはり気が変わり、手付解除だと手付金を没収されるため、
 うまくローン特約に持っていこう
というようなお客様と仲介会社と組んで、そうする方もいらっしゃいます。

些細なことでもご相談ください。

この記事の執筆者

このブログの担当者  久賀田 康太

保有資格:宅地建物取引士

1985年生まれ。

大阪府守口市出身。

関西大学法学部法律学科卒業。

住友不動産販売株式会社にて土地、中古戸建、新築戸建、一棟収益物件、工場、田畑等の売買仲介業務にて実務経験を積む。

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