液状化現象ってなに?
目次:【液状化現象とは】
液状化現象とは
2024年1月1日に起きた「能登半島地震」では甚大な被害が出ています。
今だ被害の全貌が明らかになっていませんし、
二次被害も出ています。
今回は「液状化」について記載していきます。
液状化とは?
液状化とは、地震が発生して地盤が強い衝撃を受けると、
今まで互いに接して支えあっていた「土の粒子」がバラバラになり、
地盤全体がドロドロの液体のような状態になる現象のことをいいます。
液状化が発生すると、地盤から水が噴き出したり、
また、それまで安定していた地盤が急に柔らかくなるため、
その上に立っていた建物が沈んだり(傾いたり)、
地中に埋まっていたマンホールや埋設管が浮かんできたり、
地面全体が低い方へ流れ出すといった現象が発生します。
テレビでの放送でも、時々マンホールからいきなり水が逆流している映像が出たりします。
液状化は、主に同じ成分や同じ大きさの砂からなる土が、
地下水で満たされている場合に発生しやすいといわれています。
そのような砂でできた地盤は砂の粒子が結びついて支えあっていますが、
地震発生で繰り返される振動により、地中の地下水の圧力が高くなり、
砂の粒子の結びつきがバラバラとなって地下水に浮いたような状態になります。これが液状化です。
今回の能登半島地震でも、テレビでは一回目の一番大きい地震時の情報が流れていますが、
度重なる小さな地震にも、この液状化は影響します。
じわりじわりと地震の回数を重ねる上で、地上ではわかりませんが、
地中では物質が動き回っています。
そして、少し時間が経ってから地上に影響を与えます。
このような状態となると、水よりも比重が重い建物が沈んだり、傾いたりします。
水の比重よりも軽い下水道のマンホールなどが浮き上がる場合があります。
3つの条件
地盤の液状化は次の3つの条件が揃ったところに、
ある程度の大きさの地震の揺れが加わり発生します。
度重なる地震により、液状化はだんだんと進行していきます。
・その土地に砂が堆積している
・その砂が地下水に浸かっている
・その砂がゆるい状態である
上記3つの条件が揃う場所は、「液状化が起こりやすい」と推測されています。
液状化現象のメカニズム
砂粒の間にある水や空気の圧力が地震の揺れで、
砂粒同士のかみ合わせが外れて水や空気中に浮いた状態になります。
すくなくとも、地中の砂には「水分」が含まれています。
日常の「雨」等が染み込んでいっているイメージです。
そして地震の揺れにより砂粒が密に再堆積して、
上部には水や空気が移動します。
地震により砂粒の配列が密になることで地盤の体積が減少し、地表面が沈下します。
水より軽い埋設管などは浮き上がり、杭を打っていない住宅などは地盤と共に沈下してしまいます。
液状化の可能性のある土地とは?
いったいどんな土地が、液状化が起こりやすいと考えられるでしょうか?
専門家はあくまで、
①その現象が起こった
↓
②原因の調査
↓
③調査報告
という段取りで検証結果を報告しますので、
ここがこれから液状化します!と断言できる方はにいません。
地震学者も同様です。
日本でもたくさんの地震学者がいますが、
地震を予測できる人は一人もいません。
あくまで歴史からの検証しかできません。
ですので、土地を購入する場合には、
自分で調べ、判断するしかありません。
埋立地などの「比較的新しい土地」
「比較的新しい土地」とは、造成後年月が経過していない埋立地のことです。
といっても専門家が使うこの「比較的新しい」とは、
ここ5年~10年のことではありませんので、
注意してください。
地球の歴史は46億年と言われていますので、
第二次世界大戦後すぐの時期でも、
専門家が言う「比較的新しい土地」に含まれると考えた方が良さそうです。
2011年の東日本大震災の影響で起きた千葉県浦安市の液状化現象では、
「50~60年以内(1950年頃?」に造成された「比較的新しい土地」での液状化被害が目立ちました。
工法や土質、造成によって地盤の硬軟は左右されますが、
専門家が言う「比較的新しい土地」とは50年前~60年前も当然に該当しますので、
比較的新しい土地で液状化が起きる可能性があることは把握しておきましょう。
旧沼地・旧池
これはイメージが沸きやすいかと思います。
近くに沼があったり、池があったりしますと、
その沼や池は、地形的に水がたまりやすいと容易に検討がつきます。
もともと沼や池であった土地は、液状化現象が起こりやすいといえます。
湾岸沿いだけでなく、内陸でも液状化は起こります。
沼や池を埋め立てた土地は、地下水位が高いことが多く、
埋め立てに使われた土や地盤の締まり具合によっては、
液状化の発生条件にあてはまることがあるのです。
比高の小さい自然堤防、旧河道など
自然堤防や旧河道などは液状化が起こる可能性のある土地です。
「自然堤防」とは、洪水によって運ばれた砂やシルトが堆積して生まれた地形です。
「旧河道」とは以前に川が流れていたところのことです。
河川は自然に流路が変わることがあるのです。
人工的に流路を変更することもあります。
旧河道は地下水位が高く、地盤は川によって運ばれた砂で構成されていることが多いので、
液状化リスクがある地形といえます。
大河川の沿岸
大河川の沿岸、特に下流域は三角州などにあたり、
自然堤防、 後背低地、旧河道からなります。
全体的に地下水が高く、 地盤の締まりはゆるい傾向があるため、
砂質地盤のエリアでは液状化現象が発生する可能性があります。
特に、川の合流部や屈曲部は過去に氾濫が多かった地帯のため、注意が必要な場所です。
大河川の沿岸に土地の購入を検討している方は、
地歴や、国や市町村から提供されている
水害ハザードマップで、その土地を調べてみましょう。
砂丘間低地
長年にわたって砂が堆積して生まれた砂丘は、
主に日本海沿岸や鹿島灘、遠州灘沿岸などに分布します。
砂丘の砂は同じ大きさの粒で構成されています。
さらに、砂丘の裾や砂丘と砂丘の間の低地は地下水位が高く、液状化が起こりやすい場所です。
砂鉄や砂利の採掘跡地の埋め戻し地盤
砂鉄や砂利を採掘した跡地の埋め戻し地盤は、
液状化が起こる可能性のある土地です。
かつて日本では、砂鉄の採掘が盛んに行われていましたが、
砂鉄の採掘後、掘り起こした穴の締め固めをせず、周囲の土(砂)で埋め戻しを行っていました。
そのため、砂鉄採掘跡地の地盤は緩く、地震が発生すると液状化が起こりやすいといわれています。
沢を埋めた盛土の造成地
一般的に丘陵地帯は液状化現象が起こりにくいとされますが、
丘陵地の造成地には谷や沢を埋めた部分があるものです。谷や沢を埋め立てた盛土の造成地は、液状化が起こる可能性のある土地です。
実際に東日本大震災では、沢を埋めた盛土の造成地で噴砂(地震の震動によって表層の砂質土が噴出する現象)が確認されました。
まとめ
上記で液状化現象が起こりやすい土地について記載しました。
しかし、これらはあくまで「比較的新しい」検証できる時代の、
液状化が起こった場所の検証結果にすぎません。
これから予想できないような液状化のメカニズム、
また他の災害に起因する液状化現象が研究で明らかになるかもしれません。