外国人入国事前審査
出入国在留管理庁は短期滞在ビザを免除する外国人について2028年度から渡航前にオンラインの入国審査を開始すると発表した。米国の「電子渡航認証システム(ESTA)」を参考にし、訪日客から手数料も徴収する。
審査制度の正式名称は「JESTA」とする。短期ビザを免除している71の国・地域からの渡航者を対象に、事前に職業や渡航目的、宿泊場所などの申請を求める。申請内容を出入国在留管理庁が確認し、問題がなければ認証する。
事前認証を受けなければ日本行きの航空機や船に搭乗できないようにする。不法滞在や犯罪、テロなどのリスクがある人物が日本に上陸するのを防ぐ。
鈴木馨祐法相はJESTAの導入について「出入国在留管理の厳格化、出入国審査の迅速化を実現できる」と説明した。
現在は航空会社などから出発後に搭乗者の情報を提供してもらい、危険人物がいないか調べている。不審な人物がいたとしても、日本に上陸することは防げなかった。
入国審査の手続きを軽減する狙いもある。入国後に審査端末で顔写真と指紋を登録し、問題がなければ自動ゲートを通って手続きを終えることが可能となる。
出入国在留管理庁によると、訪日客の急増に伴って入国審査の混雑や待ち時間の長さが課題になっている。JESTAの導入と合わせて審査の効率化も検討する。
事前審査制度を導入している諸外国と同様、JESTAも渡航者から手数料を徴収する。手数料の額や受け取り方法は今後詰める。米国はESTA申請時に21ドル(約3000円)を徴収している。
自民党の外国人材等に関する特別委員会が手数料について「諸外国の水準を踏まえて」検討し、出入国管理などの財源として活用を検討するよう求めた。
日本政府観光局(JNTO)によると、2025年4月の訪日外国人旅行者数(推計値)は、前年比28.5%増の390万8900人となった。単月の過去最多だった2025年1月(実数:378万1629人)を上回り、記録を更新した。新型コロナの5類への移行前にあたる2023年4月(実数:194万9236人)との比較では、2年間で倍増したことになる。
地域別では、中国が76万5100人(2024年比43.4%増)、韓国が72万1600人(同9.1%増)、台湾が53万7600人(同16.9%増)、米国が32万7500人(同43.1%増)、香港が26万3600人(同42.9%増)の順。
また、カナダや英国など10市場で、単月の過去最高を更新。韓国や中国、シンガポールなど11市場で4月の過去最高を更新した。
訪日外国人数の月次推移と市場別の数値は以下のとおり。
※本グラフはコピー&ペーストで自由に転載可
JNTO資料(対2024年比)より